古川 勝三 氏
古川勝三氏 略歴
1944年 愛媛県宇和島市生まれ1967年 愛媛大学卒業、以後教職の道を歩む
1980年 文部省海外派遣教師として、台湾省高雄日本人学校で3年間勤務
1983年 「台湾の歩んだ道」「台湾を愛した日本人」台湾で出版
1991年 「台湾を愛した日本人」で土木学会著作賞受賞
2001年 「嘉南大圳之父」八田與一傳 中国語版台湾で出版
2009年 「台湾を愛した日本人」土木技師八田與一の生涯改訂版を創風社より出版
2013年 台湾政府観光局より台湾観光貢献賞(Taiwan Tourism Award)授与される
2013年 「日本人に知ってほしい『台湾の歴史』」を創風社より出版
2015年 「台湾を愛した日本人Ⅱ」近藤兵太郎の生涯をアトラス出版より出版
古川勝三氏が土木偉人に興味を持ったきっかけは、台湾省高雄の日本人学校在勤中、烏山頭ダムに出会い、それを構築した八田與一が地元住民に未だに愛されている事を知って感銘を受けたことにありました。さらに、古川氏の出身地である愛媛県は、荒川の大規模河川改修を手掛けた、宮本武之輔の出生地でした。二人の偉大なエンジニアの共通項は、「廣井勇」という恩師が多大なる影響を与えたことでした。
廣井勇の功績として、小樽港をはじめ、さまざまな土木構造物の構築に携わったことが挙げられますが、それ以上に多くの門下生を育成したことが偉業として知られています。廣井勇は、伊藤長右衛門、八田與一、青山士、堀見末子、宮本武之輔、増田淳といった超キラ星といわれる土木技術者を育成し、日本の近代化に大きく貢献しました。講演の最後には、廣井勇の言葉を10箇条にまとめて提示していただきました。
1 橋を作るなら、人が安心してわたれる橋を作れ
2 橋の設計において大切なことは、下から見た美しさである
3 工学には、数式だけでなく美的センスが必要である
4 現場は技術者の教科書である。自分の目で確かめよ
5 節約せよ。余剰金は構築物の延命工事に使え
6 50年を経ずしてコンクリートを語るな
7 工学は何のためにあるか?それを利用する人のためであり
思索する時間を生み出すのが工学である
8 美しい構造物は、常に強靱である
9 論文や設計図には、オリジナリティーが必要である
10 技術者は官僚的出世主義に陥ってはならない